Enuff Z’nuffのバンド結成初期(メジャーデビュー前の1984-)に録り貯めたdemoを集めたボックスセット『Never Enuff – Rarities & Demos』が近々発売されますが、ちょうどその頃(強引にこじつけw)メタルシーンに登場していたバンドを雑誌や評論家の影響で日本では何でもかんでもLA Metalと呼んでおりました。(ロサンゼルス発で無くともok。)最初は80s初頭イギリス発のNWOBHMとの差別化でこう呼んでいたように思うのですが、これが一種のムーブメントになり、MTVとの相乗効果もあってメタルジャンルに火がつき、のちのBon JoviやWhitesnakeのようにラジオやMTVでも当たり前のようにかかるようになります。
このムーブメントから飛び抜け出ちゃったのはMotley CrueやQuite Riot。一方ムーブメントから抜けきれなかったバンド^^;もといムーブメントの一角を担った代表的なバンドはRatt、Dokken、Great Whiteあたり。個人的LA Metal四天王ですね!(あと一つは?w)特徴はMTV受けするような派手さでしょうか。
おしゃれRattには期待していました。スーパーロック(もどき?)87があるとしたらトリがVan Halen、トリ前がRattのアメリカ勢と勝手に妄想していたくらい。Rattの場合デビューアルバムを超えられなかったのが大きかった。そのくらいデビューアルバム(というか曲の「Round And Round」ね)はインパクト大やった。やっぱり曲なんだよねぇ…。(意味深^^;)
Dokkenは湿り気のあるヴォーカルが特徴で特にアルバム『Under Lock & Key』ではカミソリギターと言われたジョージリンチとのバランスが絶妙でした。次のアルバム『Back for the Attack』も評価高いですが、個人的にはハードな方に振り切れちゃったなという印象。それくらいギターのすごさが目立っちゃいました。
他に一翼を担ったStone FuryやWhite Lionはヴォーカルがそれぞれドイツやデンマーク出身。生粋アメリカバンドには出せない憂い、陰りがありこれがまた堪りませんでした。
White LionのヴォーカルMike Trampはソロで現在も活動中です。
ちなみにこの時代、LA Metalムーブメントとは無縁の裏街道、もとい王道を行っていたのがNight Ranger。ラジオでよくかかっていた華やかなギターソロ伴う疾走感ある格好いい曲「Don’t Tell Me You Love Me」や「(You Can Still)Rock in America」。写真を見るまではモトリークルーのような肩パッドや鋲などをつけたバンドかと思っていましたが、見たら近所にいそうな気のいい兄ちゃん達からなるバンドでした(メディア乏しい頃の良き思い出)。
Night Rangerも最近新作を出してます。
80s次なる新たなムーブメントが1987年-Guns N’Rosesに代表されるバッドボーイズロックムーブメント。メジャーで世に出た最初のバンドはFaster Pussycat。そして大本命のGuns N’Roses。一歩遅れてNWOBHMの渦中にいた元GirlのメンバーPhil Lewis擁するL.A. Guns、元Hanoi RocksメンバーのSami Yaffa加入で期待されたJet Boyなど。
Circus of Powerや映画ターミネーターでおなじみのLittle Caesarなど無理やりガンズの対抗馬をメディアが作っていた感もありました。騒々しさが特徴の日米混成グループCats in Bootsもいましたね。
AerosmithやHanoi Rocksの影響を受け、ちょっぴりパンキッシュでブルージー。外見では装飾を排除しかつタトゥーとブーツ?が特徴的といったところでしょうか。(前年1986年のThe Georgia Satellitesの大ヒットも飾り気のないバンドの増える大きな要因になったはず。)うまくレッテルを貼れなかったために後になってスリージーロックと呼ばれたり、LA Metalと一緒くたにされたり、はたまたHair Metalとしてまとめられたりと散々ですが、雨後の筍のようにガンズもどきバンドが出てきてそれまでのかわい子ちゃんバンドが男臭さやブルースなどを強調しだしたことを考えるとLA Metalとはまた違う期待された新たなムーブメントだったんではないかなと勝手に思っております。(当時のレコードショップのブートレッグコーナなんかほぼGuns N’Roses一色に塗り変わったもんね。)
とはいえ、その後LA Metalの残党を思わせるのような煌びやかなバンドが1989年の頃にも出ていたことを思うとまだまだこのムーブメントも続いていたとも思うのですが、その一方Motley Crueを思わせるPretty Boy Floydの登場はそのムーブメントの終焉をも思わせてくれました。(最後の狂い咲き?あだ花?)
格好の派手さばかりが目につきますが、Queensryche、Lizzy Borden、Malice、Crimson Gloryあたりの正統派と言われたHMバンドも頑張っていましたし、Kingdom Come、Salty Dog、そしてここでも出てくるGreat WhiteなどがLed Zeppelinフォロワーと言われサウンド面で物議を醸し出していたこともありました。
四天王のうち一番長く聴き続けたバンドがGreat White。
代表曲は何と言っても「Rock Me」。この曲は大人のロックで今聴いても熱くなれます。バンドは2つに別れつつも現在も活動中。特徴的な歌声の持ち主、ジャックラッセル率いるバンドの方はまたまたLed Zeppelinのカバー集を最近出しております。
LA Metalにあったようなサウンドがこの後も当然主流になっていくとこの頃は思っていたのですが、今や完全に忘れ去られてしまった感があります。ラジオでもあんまりかかんないしね。
この後、LA Metalムーブメントは細っていくのですが、ネルシャツ軍団の登場とともに完全に過去のものとなってしまいます。新たなムーブメントですね。
続く…のか…)