スタジオアルバムとしては、前作『DISSONANCE』から約7年ぶりの作品のため、必要以上に期待してしまっている今作『Clowns Lounge』。
特に2016年12月号のぶるるん!誌でなんと93点というなんともありがたい数字を頂いてしまったものですから、今作の経緯を知っている者としては「ハードル上げすぎやろ」と非常に複雑な気持ちで聴くことになりました。
(なお、ぶるるん!誌のレビューのその”内容”も、ん?んん??んんん???という感じでした。調子悪かったのかな?)
そして巷のレコードショップも日本ではまだまだビッグだぜという感じで盛り上げてくれています。
※画像はtwitter投稿から拝借しております。
昔の彼らを知っている人でも今の彼らの現状を知っている人は少ないと思われます。上の画像の「全然現役」というのはまさしく今の彼らの状態をうまく表していますね。こうして新たな音源が届けられるのも、Enuff Z’nuffという”屋号”を守り、地道に活動を続けてくれているチップのおかげです。感謝!
んで、今作の位置づけなのですが、純粋な新作というわけではなく、Enuff Z’nuffデビュー前に残したデモ音源を元にChip中心に完成させた曲が大半を占めており、今はバンドにいない若い頃のドニーの声も楽しめます。
さて、肝心の中身ですが、tr1の「Dog On A Bone」は、今のメンバーで作られたもので、この曲のみが現在進行形の今のバンドを表しているのですが、前作からのブランクがある割に新曲が1曲のみというのもどうなのかと、ドニーの曲を望む一方、今のバンドに不安を感じてしまいます。また、過去のストックから手を加えて完成させたという意味では同じような位置付けといえるアルバム『?』の時も思いましたが、アルバム1曲目にチップのボーカルの曲を持ってくるのってどうよ?新たにアルバム聴く人が試聴した時にどう思うのか?と思ってしまいます。
今作品に収録されている曲はデモとしてどこかで聴いたことあるものが多いのですが、さすがにそのままではなくイントロを中心にいじっています。もともとデモありきなので音はお世辞にも良いとは言えなく、曲もキラーチューンのようなものがあるわけではないのですが、チップとドニーが作りドニーが歌っているというだけで軽く平均点を上回るキャッチーな曲が並んでいます。また、忘れてはならないデレク、ヴィッキーの音も残されており、特にデレクの流れるようなギタープレイはさすがです。聴き進むにつれ、デレクの奔放に見えてツボを押さえた絶妙なギタープレーをもっと聴きたいという衝動にかられ、ギターのフレーズを追っている自分がいます。(デモの「She Makes It Harder」でイントロから曲を彩っていたなめらかなギターがなくなっているのはつくづく残念。)
このようにどうしてもドニーが歌うデビュー前の未完成であった曲を追ってしまうのですが、前出のtr1「Dog On A Bone」もチップ特有の浮遊感とカチッとした感じが融合しており、なかなかどうしていい感じです。
tr6「The Devil Of Shakespeare」は亡くなったJani Lane(Warrent)のボーカルがフューチャーされているのですが、チップとD’mollsの元メンバーの共作とのことで、毛色の少し違うこの曲はアルバムの中でいいアクセント(箸休め?)になっています。なお、同曲では元Enuff Z’nuffメンバーのJohnny Monacoもボーカルとしてクレジットされています。(かすかに「お、これモナコか?」と思わなくもないのですが、いろんな人の声を似せることができるモナコなので、はっきり自己主張しているわけではありませぬ。)
アルバム購入して以来リピートして聴いていますが、なかなかいいのですよ、これが。よく埋もれたままだったな^^
『Produced by Chip Z’nuff & Donnie Vie』とクレジットされていますが、The Beatlesの作詞作曲のクレジットと同じようなもので、おそらくドニーはタッチしていない(今回の収録に関してという意味ね))と思われます。
少し前の記事で今回のアルバムアートワークにはドニーのアイデアも入っているとどこかで見ましたが、アートワークを担当しているLee StokesさんはドニーのV8の時にもかかわっていた人なのでそうだろうなと思う一方、新たにドニーが関与したのはそこだけなのかなと…。
tr13に日本盤のみボーナストラックが収録されており、tr1の異なるバージョンになっています。(出だしがカットされているぐらいで違いはほとんどないのでは…^^;)ということは、まだ残されている膨大な未発表曲を今後まとめて世に出すときのために出し惜しみしたのでは、と次なる『Clowns Lounge part2』を期待している自分なのであります。(妄想)
※Chip関連のサイトから拝借
バンドのほうは、今のところ2017.03までACE FREHLEYなどとのツアーが予定されております。
http://www.enuffznuff.com/
他のレビューサイト
get reaady to rock
〜2016.12.3追記〜
Chipのインタビューサイト
Interview: Enuff Z’Nuff singer/bassist Chip Z’Nuff
音声:ENUFF Z’NUFF: Chip Z’Nuff (Nov. 30, 2016)
おまけ